
ミャンマーで大地震が発生して、28日で1カ月。
これまで数々の被災地で支援してきた神戸のボランティア団体が現地での支援の困難さを訴えた。内戦が続く現地の悲痛な現実だ。
■3700人以上が死亡 マグニチュード7.7の大地震から1カ月
3月28日、ミャンマー中部マンダレー付近を震源にマグニチュード7.7の大地震が発生。3700人以上が亡くなった。
多くの建物が崩壊し、いまでも20万人以上がブルーシートなどを張って、避難生活を続けている。
26日、神戸市で開かれたミャンマー支援の報告会を開いたボランティア団体「CODE」。
「CODE」海外災害援助市民センター 吉椿雅道事務局長:これから雨季がくるので、『住宅が必要だ』と言うんですけど、『私たちには再建する力はない』と言っていました。日本だったら自治体や政府がある程度データを把握し、支援や復興計画を立てるけど、そういうものが全くない。今後の方向性が誰も分からない状況。
■これまで経験したことのない支援の難しさ 内戦が続くミャンマー
阪神・淡路大震災をきっかけに、国内外で被災地支援を続けている吉椿さんは、4月9日から現地入りした。
「CODE」海外災害援助市民センター 吉椿雅道事務局長:徐々に色んな物資はそろい始めているので、何もない所に寝てる人は少なくなっている。上にシートを張って、日除けや雨除けをしている、大半の人がそういう状況です。
支援物資を配ったり、ニーズを聞き取るなどしたが、現地で直面したのは、これまで経験したことのない支援の難しさだった。
2021年の軍事クーデター以降、国軍が支配権を握り、民主派勢力との内戦が続くミャンマー。
軍事政権は、民主派が多く住む地域に入ろうとする海外からのボランティアを追い返したり、支援物資を積んだトラックの運航を認めなかったり、海外からの支援に制限をかけているのが現状だ。
「CODE」海外災害援助市民センター 吉椿雅道事務局長:誰でもOKっていうわけじゃないので、規制とかプレッシャーがありながらの支援活動。軍事政権下なので、組織的な支援、コーディネーションができていない。そこが最大の課題です。
■仮設住宅なども用意されず…声を上げると「逆に火の粉が降り注ぐ可能性」
地震による火災で広い範囲が焼けた地域でも、仮設住宅などは用意されておらず、衛生環境が悪い中で生活している。
「CODE」海外災害援助市民センター 吉椿雅道事務局長:本当はそれに対して、国際社会はもっと声を上げないといけないけど、声を上げることによって、現地のNGOや、一生懸命支援をしようとしている人たちに、逆に火の粉が降り注ぐ可能性もある。だから名前とか、地域を言えないこともいっぱいある。
■支援を求める声すらあげられない「軍人の耳に入ると危なくなる」
被災地近くで暮らし、今は日本の団体と一緒に支援活動をしているミャンマー人に話を聞いた。
被災地近くに住む支援をする人:地震があった2日3日、1週間、10日間は、食べ物のこと(支援)をやっていました。今は食べ物より、これから壊れた自分の家をどうするか。内戦で軍人は地震のことを何も助けてくれない。(こういう話を)他の人に言ったら、軍人の耳に入るかもしれないから危ない。だから自分の命は、自分で守っています。
■世界のつながりを考える事が大事
支援を求める声すらあげられない現状。それを目の当たりにした吉椿さんは、私たちに強く訴える。
「CODE」海外災害援助市民センター 吉椿雅道事務局長:意識して考えないといつまでたっても他人事でしかない。世界でこれだけ気候変動や災害、戦争が起きている中で、『私たちには関係ない』、『私たちは安全だ』と言っていれば、世界はよくならない。神戸(阪神・淡路大震災)の時は、70カ国が支援してくれた。世界って見えないところで支えあっている。もう一度その国と私たちがどうつながっているのかを考えることが大事だと思います。
遠く離れたミャンマーで起きた地震から1カ月。
支援が届きにくい場所に、私たちがいまできることはあるのだろうか。
(関西テレビ「newsランナー」2025年4月28日放送)