2010年2月27日夜から28日にかけて、ハリケーン級暴風雨「シンシア(Xynthia)」がヨーロッパ西部に上陸し、大雨と暴風がヨーロッパの人々の生活を襲いました。[※1]
最も被害が大きかったのはフランスで、1999年12月に記録された暴風雨以来、フランスで最も大きな被害をもたらした暴風雨となりました。
低地では、海岸沿いで約45m/s、内陸で約35m/sにも及ぶ暴風が吹き荒れ、その暴風による吹き寄せ効果で発生した高潮を起因として、海岸沿いに異例の洪水を引き起こしました。
このような洪水が起きたのは、シンシアの通過時が海水面が最も高い満潮のタイミングに重なったこと、また通常よりも満潮時の水位が高くなりやすい大潮の時期であったことが原因といえます。
倒れた建物や電柱などの下敷きになったり、洪水に流されたりするなどしてフランスで47人、ヨーロッパ全体では59人の死者を出しました。
大西洋沿岸は壊滅的な被害を受け、シンシアが直接もたらした被害総額は25億ユーロ以上と見積もられています。
シンシアは、地球温暖化の中で異常気象や洪水に対する領土、特に沿岸地域の脆弱性が増大していることを浮き彫りにしました。[※2]
<注釈>
[※1]シンシア(Xynthia)は、厳密にはハリケーン(熱帯低気圧)ではなく温帯低気圧となりますが、ハリケーン並みに発達し被害をもたらしたことで、ハリケーン"級"という表現をしています。発生時期や気象条件から、日本でいう「
爆弾低気圧」に近いものと言えるでしょう。
<出典>
[※2]Météo France
https://meteofrance.com/actualites-et-dossiers/magazine/nuit-du-27-au-28-fevrier-2010-xynthia