昨年10月、地球に最接近した火星。その時はマイナス2.6等という明るさでしたが、今月には約0等となりやや穏やかな明るさに変化しています。日の入りから1時間後には南の空高くに赤く輝く火星が見え、同時にオリオン座のベテルギウス、おうし座のアルデバランと、3つの赤い星が並びます。
火星が赤く見えるのは、地表に酸化鉄(赤さび)が大量に含まれているため。太陽の光を地表が反射して赤く光って見えるのですね。ベテルギウスとアルデバランは太陽のように自ら光を発する恒星で、赤い色は赤色巨星と呼ばれる晩年の星の輝きです。ベテルギウスは赤色超巨星に分類され、巨星のなかでも最晩年の星とされています。このふたつの星は、全天に21個ある1等星の代表的な星。火星とほぼ同じくらいの明るさで、冬の夜空に赤く輝いています。
左から、南東にオリオン座のベテルギウス、その右上にアルデバラン、さらに右に目を移すと火星。3つの星が大きく弧を描くように並び、21日には火星のすぐ下に上弦の月が美しく光ります。月と惑星の接近は珍しい現象ではありませんが、変化する月の姿や星との位置、空の色などは一期一会の光景です。今年もその時しかない、日々の星空を楽しみたいですね。
参考サイト
アストロアーツ国立天文台