
岡山市で発生した大規模山林火災から4月23日で1カ月が経ちました。森林の再生に向けて復旧計画の策定が進む中、注意すべき点、今後の見通しについて専門家に話を聞きました。
(重井薬用植物園 片岡博行園長)
「燃え方が今までにない火の強さだったので、再生できるはずの植物がどこまで耐えられるかが問題になってくる」
こう語るのは倉敷市の重井薬用植物園の片岡博行園長です。3月23日、岡山市南区飽浦で発生した山林火災から4月23日で1カ月。焼失面積は約565ヘクタールに上り、記録が残る中で岡山県内では過去最大の被害となりました。
多くの草木が焼け、地表は真っ黒に・・・・今なお残る火災の傷跡は被害の深刻さを物語っています。
しかし、燃え盛る炎の中を生き抜いた命がそこにはありました。
(重井薬用植物園 片岡博行園長)
「地表の葉は燃えているが、新芽までは燃えていないので山火事が鎮火した後に、ちゃんと芽生えてきている。今の段階では枯れた状態の山のように思えるかもしれないが、生きているものは迅速に新しい芽を出して、再生を始めると思う」
森林の再生には多くの時間がかかります。草木が焼失したままの状態が続けば2次災害のリスクが高まると片岡さんは指摘します。
(重井薬用植物園 片岡博行園長)
「土砂の抑えがなくなって土砂が流出すると、岩石なども落ちてくることが起こりうる」
岡山県は今後、「ウバメガシ」など燃えにくい樹木の植栽計画を立て緑化を進めていくことにしていますが、一筋縄ではいかない再生の難しさがあります。
(重井薬用植物園 片岡博行園長)
「(ウバメガシなどを)植えて成長したら万事OKなのかというと、そういうわけにはいかなくて、落ち葉や枯れた枝がたまっていく状況になればまた、また何十年後かに燃料がたまりきって、そこに火がつくと、今回のような山林火災につながる可能性がある」
今後このような山林火災を引き起こさないよう、自然との付き合い方を改めていく必要があります。
(重井薬用植物園 片岡博行園長)
「地域での里山の管理やボランティアを募って自然の保全活動をしている場所もある。まず地域の自然のことを知ってもらうことが第一歩になる」